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ステージング2026-05-2521 min read

不動産公正取引協議会ガイドライン徹底解説|表示規約・施行規則・運用基準の実務まとめ

不動産公正取引協議会表示規約公正競争規約AI加工

この記事のポイント

  • 不動産公正取引協議会連合会の「不動産の表示に関する公正競争規約」(表示規約)と「同 施行規則」がルールの骨格で、実施細則・指導基準などが個別事項を補う
  • AI 画像加工・バーチャルステージングに直接関わるのは、施行規則 第9条第22号・第23号(写真・CG の表示方法)と、表示規約 第23条第1項第42号・第43号(写真・CG による不当表示の禁止)
  • 表示規約は景品表示法 第36条に基づく業界自主規制で、違反すると協議会から警告・違約金(警告に従わない場合は最大500万円)の対象になる

不動産公正取引協議会とは?

不動産公正取引協議会連合会(以下「公取協」)は、景品表示法第36条に基づく公正競争規約を運用する業界自主規制団体です。全国を9地域協議会(北海道・東北・首都圏・北陸・東海・近畿・中国・四国・九州)に分けて運営しており、不動産業界の広告表示ルールを定めています。

公取協が定める 「不動産の表示に関する公正競争規約」(通称「表示規約」)は、不動産広告における事実上の業界標準ルールです。SUUMO・LIFULL HOME'S・at home 等のポータルサイトも、この表示規約に準拠した審査基準を運用しています。

詳細は不動産広告の写真ルール完全ガイドや不動産写真のAI加工 景品表示法ガイドで全体像を解説していますが、本記事では条文レベルの中身を見ていきます。

ルールの3階層構造

公取協のルールは、大きく次の3層で構成されます。

階層名称性質
1公正競争規約(表示規約)業界自主規制の基本ルール。全30条
2施行規則表示規約の各条を具体化した細則(表示の方法・基準)
3実施細則・指導基準など個別事項の取扱い(DK・LDK の広さの目安、おとり広告ガイドライン等)

写真・CG の扱いは、表示規約と施行規則の本文に書かれています。実務で「これは OK?」と迷ったときは、まず施行規則の該当号を確認し、判断がつかなければ各地区の協議会に相談するのが確実です。

AI 画像加工に関わる主要条文

施行規則 第9条第22号・第23号(写真・CG の表示方法)

表示規約 第15条は、物件の内容や取引条件を表示するときは「規則で定めるところにより」表示するよう求めており、その第8号が「写真・絵図」です。具体的な方法を定めているのが施行規則 第9条で、写真・CG に関わるのは次の2号です。

  • 第22号(写真・動画): 宅地・建物の写真や動画は 取引するものを表示する。建築工事の完了前など、取引する建物の写真を使えない事情がある場合に限り、同じ施工者が過去に施工した類似の建物の写真を使えるが、その場合は 他の建物である旨 を写真に接する位置に明示する
  • 第23号(CG・完成予想図等): コンピュータグラフィックス、見取図、完成図、完成予想図は「その旨を明示して用い」、物件の周囲の状況を表示するときは 現況に反する表示をしない

バーチャルステージング画像は家具を CG で描き加えたものなので、第23号に沿って CG である旨を明示 して使うのが基本です。

表示規約 第23条(写真・CG による不当表示の禁止)

表示規約 第23条第1項は、してはならない広告表示を列挙しています。写真・CG に直接関わるのは〔写真・絵図〕の2号です。

  • 第42号: モデル・ルーム、写真、動画、CG、見取図、完成図・完成予想図による表示で、物件の 規模・形状・構造等 について事実に相違する表示、または実際より優良と誤認されるおそれのある表示
  • 第43号: 物件からの 眺望・景観 を示す写真・CG 等で、事実に相違する表示、または実際より優良と誤認されるおそれのある表示

同項にはほかにも、面積(第8号)、建物の毀損・汚損の程度(第20号)、設備(第32号)、採光・通風・日照・眺望等(第38号)について、実際より良く見せる表示の禁止があります。CG である旨を注記しても、これらを偽る加工は許されません。

出典: 不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則(不動産公正取引協議会連合会。施行規則 第9条第22号・第23号は p.16、表示規約 第23条第1項第42号・第43号は p.29)

これらは AI でバーチャルステージング画像を生成する際に直接関わる規定です。

注記の大きさ・位置

施行規則 第9条第23号は CG である旨の「明示」を求めていますが、注記の文字サイズや位置の数値基準は定めていません。なお、規約が「見やすい大きさの文字」での表示を求めている事項については、施行規則 第8条が「原則として7ポイント以上」と定義しています(p.12)。CG の注記にこの数値が適用されるとは定められていないため、実務では次のように運用するのが安全です。

  • 注記は 本文と同等以上の可読性 を持つこと
  • 注記は 画像と関連付けて視認できる位置 に表示すること
  • ページ全体の片隅に小さく記載した注記は不十分とみなされうる

詳細は「CGイメージ」表記の正しい入れ方で具体的な実装方法を解説しています。

違反時の措置

公取協の制度では、違反した会員業者に対して次の措置が取られます。

措置内容
警告違反行為の排除と再発防止を求める(表示規約 第27条第1項)
違約金50 万円以下(同項)。警告に従わない場合は 500 万円以下(同条第3項)
構成員資格の停止・除名警告に従わない場合(同条第3項)
消費者庁長官への措置請求警告に従わない場合(同条第3項)

加えて、景品表示法上の措置命令・課徴金・直罰が並行して適用される可能性があります。

公取協の措置と並行して、消費者庁(景品表示法)、ポータルサイト(掲載停止)、社会的信用への影響と多重のリスクがある点に注意が必要です。

公取協 vs 景品表示法 — どちらが優先?

両者は 重複適用 されます。表示規約は業界自主規制で、景品表示法 第36条に基づき認定を受けたものです。景品表示法上の優良誤認表示にあたれば消費者庁の措置命令対象、表示規約違反にあたれば公取協の違約金対象、というように 重畳的に責任 が発生します。

実務上は「より厳しい方に合わせれば両方をクリアできる」という発想で運用するのが現実的です。表示規約は景品表示法より具体的に書かれているため、表示規約・施行規則に従っておけば景品表示法のラインも担保できます。

AI 加工・バーチャルステージング運用での実務ポイント

公取協ルールを実務に落とすと、次の運用ポイントになります。

1. 画像内に「CGイメージ」注記を必ず焼き込む

写真コメント欄だけの注記は、画像が単独で SNS 等で共有された場合に注記が剥がれます。画像内に焼き込み すれば、どこに転載されても注記が一体化します。

ルームAI では、ダッシュボードで生成画像を開き「テキスト追加」を ON にすると、注記を画像下部に入れた状態でダウンロードできます。文言は編集でき、チーム共通のテンプレートから選ぶこともできるので、自社の規約に合わせて運用できます。

ルームAI で出力した、CG 注記入りのバーチャルステージング画像のサンプル

上記サンプルは、文言を「※CG家具配置イメージ、家具は付属しません。現状優先とさせていただきます。」に編集して、画像下部にコントラスト付きの帯で入れた例です(初期文言は「※CGによる家具配置イメージ。家具・調度品は含まれません。現況優先。」)。施行規則 第9条第23号が求める「CG である旨の明示」を、画像そのものに入れておけます。

2. 物件の外観・構造が変わる加工は実施しない

施行規則 第9条第22号は、写真には 取引する物件そのもの を使うことを原則としています。また表示規約 第23条第1項第42号は、写真・CG で物件の規模・形状・構造等を事実と違えたり実際より良く見せたりすることを禁じています。AI 加工で家具を配置する以外の構造変更(窓の追加、ドアの位置移動、内装の塗装変更等)は、注記を付けても実施しないのが原則です。

3. 撮影時期を明示する

表示規約・施行規則に撮影時期の明示を義務づける規定はありませんが、撮影から時間がたって季節や周辺の状況が変わっている場合は、撮影年月を写真キャプションに入れておくと誤認を防げます。「2026年〇月撮影」のような表示が安全です。

4. 「現況優先」を明記する

物件の現状と画像との差異が生じることを想定し、「現況優先とさせていただきます」の文言を注記に含めると、内見時のトラブル防止に役立ちます。

5. リフォーム予定がない加工は実施しない

「リフォームしたらこうなる」イメージは、実際にリフォーム予定がある場合に限り 許容されます。施工予定がない場合の「想像上のリフォームイメージ」は不当表示です。なお、改装・改修したことを表示する場合は、その内容と時期を明示する必要があります(施行規則 第9条第21号)。

違反になりやすいパターン

公取協で典型的に指摘される違反パターンの分類はAI不動産写真で不当表示になる加工パターン10選で整理しています。

特に 「電柱・隣接建物の消去」「眺望の合成」「壁の瑕疵消去」 の3つは、注記の有無にかかわらず違反扱いとなる頻出パターンです。

まとめ

不動産公正取引協議会のルールは「表示規約・施行規則・運用基準」の3階層構造で、AI 画像加工との関係では 施行規則 第9条第22号・第23号 と 表示規約 第23条 が中心です。

実務的に押さえるべきは次の5点:

  1. 画像内に「CGイメージ」注記を焼き込む
  2. 物件の外観・構造が変わる加工はしない
  3. 撮影時期を明示する
  4. 「現況優先」を注記に含める
  5. リフォーム予定なしの加工はしない

これらを満たせば、景品表示法・表示規約の両方をクリアできます。

よくある質問

Q. 不動産公正取引協議会は強制加入ですか?

A. 強制加入ではありませんが、景品表示法 第36条に基づく公正競争規約を運用する業界自主規制団体として、不動産業界での事実上の標準ルールを定めています。会員でなくても、表示規約に準拠した運用をしないとポータルサイト掲載や取引相手からの信頼に影響します。

Q. 表示規約と景品表示法はどちらが優先されますか?

A. 両者は重複適用されます。景品表示法は法令、表示規約は業界自主規制で、それぞれ独立に違反判定が行われます。実務上は『より厳しい方を満たせば両方をクリアできる』という発想で運用するのが現実的です。

Q. 違約金 500 万円は実際にどのくらい適用されますか?

A. 表示規約 第27条では、違反に対してまず警告または 50 万円以下の違約金が課され、警告に従わない場合に 500 万円以下の違約金・構成員資格の停止・除名などが課される2段階になっています。500 万円は警告に従わなかった場合の上限です。具体的な措置は各地区の協議会が判断します。

Q. 「現況優先」の注記は必須ですか?

A. 規約上の必須事項ではありませんが、内見時に画像との差異でトラブルになるリスクを下げるため、実務上推奨される文言です。バーチャルステージング画像の場合は『※CG家具配置イメージ、家具は付属しません。現状優先とさせていただきます。』のような形が一般的です。

Q. 規約の最新版はどこで確認できますか?

A. 不動産公正取引協議会連合会の公式サイトおよび各地域協議会(首都圏不動産公正取引協議会など)の公式サイトで公開されています。改定が随時行われるため、定期的に最新版を確認することを推奨します。

Q. ポータルサイトの審査と公取協の違反指摘はどちらが先に来ますか?

A. ポータルサイトの審査(AI 自動検知・掲載停止)が最も早く反応します。公取協の違反指摘は、消費者からの申立てや業界内告発を経て調査が始まるため時間がかかります。ただしポータル掲載停止のほうが事業上のインパクトが大きいケースが多いです。

参考: 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」(2022年9月1日変更版)、「不動産の公正競争規約集」、不当景品類及び不当表示防止法 第36条、宅地建物取引業法。最新の規約は連合会公式サイトを確認してください。

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