ホームステージングとは?実物とバーチャルの違い・費用・効果と選び方
この記事のポイント
- ホームステージングとは、売り出し中・募集中の物件に家具や小物を置いて、住んだときのイメージを伝える販売手法。売買だけでなく賃貸の空室対策にも広がっている
- 方法は「業者に頼む実物」「自社・オーナーで行う」「写真に家具を合成するバーチャル(CG・AI)」の3つ。日本ホームステージング協会の調査では、売買の58.2%が不動産会社の自社作業だった
- 効果は、同調査で売買92.8%・賃貸92.9%が「効果があった」と回答。内見の体験まで作るなら実物、全物件の掲載写真を整えるならバーチャル、と目的で選ぶ
ホームステージングとは?
ホームステージングとは、売り出し中や入居者募集中の物件に、家具・照明・小物などを置いて室内を演出し、購入希望者や入居希望者に「ここに住んだらこう暮らせる」というイメージを伝える販売手法です。英語の Home staging から来ており、中古住宅の売却を中心に広まりました。
何もない空室は、広さや家具の置き方がイメージしにくく、写真でも魅力が伝わりにくくなりがちです。ホームステージングは、物件そのものを変えずに見せ方を変えることで、問い合わせや内見、成約につなげることを目的にしています。
新築のモデルルームとの違いは、対象が中古住宅や賃貸の空室など、すでにある物件であることです。
なぜ今、ホームステージングが注目されている?
一般社団法人日本ホームステージング協会の「ホームステージング白書2023」(2023年1〜12月の実施分)では、次のような変化が報告されています。
- 2022年の調査では実施のなかった県があったが、2023年は全国すべての都道府県で実施された
- 不動産売買では、ホームステージングを実施する基準として「全部の物件に実施する」が29.8%で最多になった(「売却困難な物件に実施する」24.6%、「長期売却できない物件に実施する」21.1%)
- ホームステージング会社の57.9%が、実施件数が前年より「増えた」と回答した
「売れにくい物件だけの特別な対策」から、すべての物件で行う販売の基本へと位置づけが変わりつつあります。
ホームステージングの3つの方法
ホームステージングには、大きく分けて3つの方法があります。
| 方法 | 何をするか | 費用の目安 | 内見時 | 掲載写真 |
|---|---|---|---|---|
| 業者に頼む(実物) | ホームステージング会社や家具レンタル会社が家具を搬入・設置・撤去する | 公開料金の例で1物件 十数万〜20万円台+配送費 | 家具がある状態で見せられる | 撮影し直して使う |
| 自社・オーナーで行う(実物) | 手持ちや購入した家具・小物を自分たちで置く | 家具・小物の購入費と手間 | 家具がある状態で見せられる | 撮影し直して使う |
| バーチャル(CG・AI) | 空室の写真に、CGやAIで家具を合成する | CG外注で1枚 3,000円〜1万円程度、AIで1枚 数十円〜数千円 | 家具はない(空室のまま) | 合成した写真を使う |
費用の内訳や各社の料金はホームステージングの費用相場|実物・CG外注・AIの料金を比較で詳しく比較しています。
自社で行う不動産会社が多い
意外に思われるかもしれませんが、日本では業者に頼まず自社で行うケースが多数派です。白書2023では、作業を実際にした人(複数回答)は次のとおりでした。
| 自社(不動産会社) | オーナー・売主自身 | ホームステージング会社 | |
|---|---|---|---|
| 不動産売買 | 58.2% | 20.0%(売主自身) | 25.5% |
| 不動産賃貸 | 51.8%(不動産管理会社) | 33.9%(オーナー自身) | 16.1% |
かけた金額も、売買では「5万円未満」が35.7%、賃貸では「3万〜5万円未満」「5万〜10万円未満」がともに38.2%で最多でした。自社でできる範囲から始めている会社が多いことが分かります。
実物とバーチャルの違いは?
実物のホームステージングとバーチャルホームステージングは、どちらも「住んだときのイメージを伝える」点は同じですが、効く場面が違います。
| 比較項目 | 実物 | バーチャル(CG・AI) |
|---|---|---|
| 内見で体験できるか | できる | できない(写真のみ) |
| 家具の搬入・撤去 | 必要 | 不要 |
| 準備にかかる時間 | 手配・搬入の日程調整が必要 | CG外注は数営業日〜、AIはその場で生成 |
| インテリアの変更 | 家具の入れ替えが必要 | 写真ごとに何パターンでも作れる |
| 居住中・家具が残る物件 | 難しい | 家具の撤去と配置を写真上で行える |
| 広告に載せるとき | そのまま掲載できる | 「CG加工」などの注記が必要 |
バーチャルの導入も進んでいます。白書2023では、不動産売買でバーチャルホームステージングを「導入している」が72.3%でした。賃貸でも、白書2025で「バーチャルステージングを実施」が40.8%と、2024年の24.0%から16.8ポイント上がっています。バーチャルを選ぶ理由としては「閲覧数アップ」「業務負荷が下がる」「イメージの自由度が高い」「納品スピードが速い」「低価格」が挙げられています。
バーチャルの仕組みや種類はバーチャルホームステージングとは?仕組み・費用・効果を徹底解説、実物との使い分けはバーチャル vs リアルホームステージングで解説しています。
ホームステージングの効果は?
「効果があった」は9割超
白書2023では、ホームステージングを行った不動産会社などのうち、売買の92.8%、賃貸の92.9%が「効果があった」(「非常に効果があった」と「少し効果があった」の合計)と回答しています。実施後に成約までにかかった期間は、売買で約半数が2ヶ月以内・約9割が3ヶ月以内、賃貸で約7割が1ヶ月以内・約9割が3ヶ月以内でした。
成約期間の短縮と賃料
白書2025では、売買の73.2%が成約期間の短縮(「1カ月以上短縮」19.0%、「1カ月未満短縮」54.2%)を、賃貸の78.0%が「賃料を上げても成約した」(「5%以上値上げできた」18.8%、「1~4%値上げできた」59.2%)を回答しています。
反響率
LIFULL HOME'S掲載の売買物件50件以上の店舗(東京都内)で「ホームステージングを実施した際の反響率」を検証した結果では、同じ店舗内でステージングなしと比べて反響率が114%増(約2.1倍)、同じエリア内では15%増でした。
なお、白書の数字はホームステージングを実施している会社への調査で、実施していない物件と同じ条件で比べた実験ではありません。自社で効果を見るときは、同じ時期・似た条件の物件で問い合わせ数や成約までの日数を比べるのがおすすめです。効果のデータはバーチャルステージングの導入効果をデータで解説にもまとめています。
どの方法を選ぶべき?物件・目的別の選び方
| 物件・目的 | おすすめの方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 管理する空室が多い賃貸 | バーチャル(AI) | 全部屋に入れても費用が小さく、募集開始と同時に写真を出せる |
| 長期空室・反響の少ない部屋 | まずバーチャル、決まらなければ実物 | 低コストで写真を変えて反響を見てから、内見の対策に進める |
| 高額な売買物件 | 実物(掲載写真はバーチャル併用も) | 内見の印象が決め手になりやすく、価格・期間への効果で費用を回収しやすい |
| 居住中・家具が残っている物件 | バーチャル | 実物の家具を搬入できないため、写真上で家具の撤去と配置を行う |
| 図面どおりの家具配置など細かな指定 | CG外注 | 家具や素材の指定を細かく反映できる |
迷ったときは、掲載写真で反響を増やしたいのか、内見での印象を良くしたいのかで決めると選びやすくなります。ポータルサイトで比較されて内見の候補に入らなければ、内見での演出までたどり着けないため、まず掲載写真を整え、反響が取れた物件の内見を実物で強化する、という順番も考えられます。
不動産会社がホームステージングを始める手順
- 対象の物件を決める:まずは長期空室や反響の少ない物件、または新規募集の物件から始める
- 空室の写真を撮る:明るく、水平に、部屋全体が写るように撮影する(撮り方は物件写真の撮り方ガイド)
- 方法を選んで写真・部屋を整える:バーチャルなら写真に家具を合成し、実物なら業者に依頼するか自社で家具を置く
- 掲載する:バーチャルの写真には「CG加工」などの注記を入れて掲載する
- 反響を比べる:問い合わせ数や内見数、成約までの日数をステージング前後や他の物件と比べ、次の物件に活かす
ホームステージングの注意点
広告表示のルールを守る
バーチャルで家具を合成した写真は、実際の物件にはない家具が写っています。ポータルサイトや広告に載せるときは、実際と異なることが分かるよう注記を入れる必要があります。実際より良く見せる表示は、景品表示法や不動産の表示に関する公正競争規約に触れるおそれがあります。詳しくは不動産写真のAI加工はどこまでOK?と不動産公正取引協議会ガイドライン徹底解説をご覧ください。
物件そのものを変えて見せない
ホームステージングで変えてよいのは、家具や小物などの置くものです。壁や床、窓からの眺めなど、物件そのものを実際と違って見せると、内見で期待を裏切り、トラブルの原因になります。
内見とのギャップを説明する
バーチャルの写真を見て内見に来た人には、家具は合成したものであることを伝え、実際の部屋の広さや家具の置き方を説明しましょう。
よくある質問
Q. ホームステージングとモデルルームの違いは何ですか?
A. モデルルームは新築物件の販売用に用意される展示用の部屋です。ホームステージングは、中古住宅や賃貸の空室など、すでにある物件を売る・貸すために家具や小物で演出することを指します。
Q. 賃貸物件でもホームステージングは効果がありますか?
A. あります。日本ホームステージング協会の「ホームステージング白書2023」では、賃貸の92.9%が「効果があった」と回答し、実施後に約7割が1ヶ月以内に成約していました。費用を抑えたい賃貸では、写真に家具を合成するバーチャルホームステージングもよく使われています。
Q. ホームステージングの費用はいくらですか?
A. 業者に頼む実物の場合、公開料金の例で1物件 十数万〜20万円台に配送費などが加わります。バーチャルなら、CG外注で1枚 3,000円〜1万円程度、AIで1枚 数十円〜数千円です。詳しくはホームステージングの費用相場をご覧ください。
Q. ホームステージングに資格は必要ですか?
A. 必要ありません。日本ホームステージング協会が「ホームステージャー」という資格を認定していますが、民間の資格で、ホームステージングを行うために取得が義務づけられたものではありません。実際に、協会の調査でも多くの不動産会社が自社でホームステージングを行っています。
Q. バーチャルホームステージングだけで十分ですか?
A. 掲載写真で反響を増やす目的なら、バーチャルだけでも十分に効果が期待できます。一方で、内見の場には家具がないため、内見での印象まで高めたい物件では実物との併用を検討しましょう。
まとめ
ホームステージングとは、物件に家具や小物を置いて住んだときのイメージを伝える販売手法です。方法は「業者に頼む実物」「自社・オーナーで行う」「バーチャル(CG・AI)」の3つがあり、日本では自社で行う不動産会社が多数派です。業界団体の調査では、売買・賃貸ともに9割超が効果を実感しています。
内見の体験まで作りたい物件は実物、全物件の掲載写真を低コストで整えたい場合はバーチャルが向いています。ルームAIなら、空室の写真をアップロードするだけで家具を配置した写真を作れます。無料で月6枚まで試せるので、自社の物件写真で仕上がりを確認してみてください。
出典
- 一般社団法人日本ホームステージング協会「2023年ホームステージングの実態調査発表(ホームステージング白書2023)」
- 一般社団法人日本ホームステージング協会「ホームステージング白書2025 発表(PR TIMES)」/「ホームステージング白書 一覧」
- LIFULL HOME'S Business「ホームステージングの効果と実施状況」
- 各社の料金の出典はホームステージングの費用相場の記事末尾に記載しています
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